日記 九十二の巻
8月 第4週火曜 朝起きると、自分の耳の下が腫れあがっていた…留守番は寂しいと言う母を連れ、タクシーで耳鼻科に向かう
★2年前も同じ症状で「H耳鼻科」にかかったことがあった。院長先生の話だと、その時は左側だったと言う。「細菌」「唾液」という言葉を使って分かりやすく説明していただき、抗生物質とう一種類、1週間分の「処方箋」を出していただく。
★最近、朝、7時から8時半ごろ母は、爆睡タイムである。昨日は、自分の通院でこの時間寝られなかったはず。だが、何も言わずに、寝ぼけた目をこすり、出かける準備をしてくれた。
★何かあったときには必ず行く「耳鼻科」は、行けば、必ず診てくれるし、待ち時間もそれほど長くない。何よりも、親切で、話を聞いてくれ、薬が効く。
★「今日はすいてるねぇ」ときた年配の「三本線ジャージ親父」が受付の女性に話しかけている。夏休み中ということなのか、診察室は、小さな子供の姿が目立つ。
★思いもよらない「病気」の訪問をノックもなしにうける…これが歳をとる、ということなんかなぁ。
8月 第4週水曜 コンビニに行く途中、突然、声をかけられる…温かい人の心に触れた珍しくゆったり時間、夏の少し湿った空気が漂う朝
★缶コーヒーを買う自販機がおかしなことになっている。先日、「140円」のブラックを買おうと、「150円」を入れたら、おつりが、「50円×2」=「100円」出てきた。今日は、「200円」投入したが、機械が反応しない。返却レバーを押しても「うんともすんとも」言わない。
★「ついてねえな」と心がつぶやく。あきらめて、いつもの道を通ってコンビニに向かう。
★「兄ちゃん、あの、いつも一緒に歩いている女の人、どうしたの」突然、話したことがない年配の女性の声に振りかえる。
「ああ、母のことですか」
「いつも、一緒に歩いてたでしょ。よくここ、通ってたでしょ」
「今日は、家で寝てるんですよ」
「元気なの。最近、あまり見ないから…。ちょっと心配になってね、いつも、あなたが通るたびに声をかけようと思ってたけど、なかなかできなくてね」
「ありがとうございます。母も91歳なもんで、この頃少し長い距離、歩きにくなったみたいで…」
「そう、前は、元気に歩いてたもんね。」
「数年前に転んでから、少しずつ体が利かなくなってきたみたいで…」
「そう、転んでね…いや、あまり二人で歩いてるの見なくなったんで、ちょっと気になってさ」
「帰ったら、母に伝えておきます。また、お会いできたら、ぜひ、声ををかけてください。喜ぶと思います」
★人は一人で生きているわけではない。人知れず、だれかが、だれかを気づかっている。人の温かい「気」が伝わってくる気持ちのいい朝である、これも方角の効果か、当たるも八卦、当たらぬも八卦。そして、小さな「幸せ」や「何かええな、これ」という体験を大切にするも、しないも各々の人生。
〈今日の付録〉この会話での「おばあさんの気持ち」を出題された場合、解答は、意外と難しいのではないんかな。
・おばあさんの気持ちを推測するに、単純な「普段から気にかけていた」「いつも心配していた」という言葉を解答に入れるのは、ちょっとズレているように思う。実際、この年配の女性にとって「いつも気にかけてた」「いつも心配」するほど「大げさ」なものでも「深い」ものでも「重要」なことではないからだ。この「いつも」は、「見かけるたびに」であろう。この、「あれ、最近いつもと違うな、どうしたのかな」と「見かけるたび」に感じる「思い」を答えに織り込むのは、国語が苦手な中学生、高校生にけっこうな「技術」がいりそうだ。
・その思いを相手に気を使いながら、失礼にならないように「日常会話」に昇華させる。「ご近所づき合い」も日本の大切な「思いやり文化」ではないか、と作者は思う次第だ。


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