日記 八十三の巻
7月 第2週水曜 7月7日が「七夕」だった皆さんは、願いごとは短冊に書かれましたか?自分は8月7日が本チャンです。それとも、近くの高層の建物のライトアップや花火を楽しまれましたか?早くも「梅雨明け」がささやかれる今日この頃ですが、久しぶりに「気になった」英語の表現を取り上げてみました
★★★梅雨明け前の蒸し蒸しした空気が入り口を開閉するたびに流れ込んでくる。
中学3年生の授業は、週3回、1日「50分授業×3」で「英数国」がこの時期の授業だ。夏期講習前は、「テキスト作り」や「DM作成」「DM配布」「新規生徒(夏期講習生)などの保護者面談」「週1の全体会議」「教科研究会」などで、朝から深夜まで「バタバタ」している。
夏期講習が始まると、2日目には「休み時間」も「睡眠」したいくらいどっと疲れが押し寄せてくる。時間がなくても、「体力」も温存しなければならない時期でもある。
「2コマ目」が終了し、自分の机に戻ってくると、「Mえ」が講師の机の周りを「衛星」のようにゆっくりと、しかし不自然な動きで回っているのが視界に入る…あきらかに「挙動不審」や。その様子に思わず、体は「ブラックコーヒー」を求めて、外に出ようと反応する。
「センセ、ちょっと、な」背後から「Mえ」の言葉が刺さる。他の先生も聞こえてはいるが、「この塾」で生徒が「×●先生」と「苗字」をつけて呼ばない「センセ」は、まず、自分だけしかいないことと、他の講師はみんな分かってる。
たった今、気づいたように「おう、Mえ、どうしたん」と声が上ずらないように返す。
「ちょっと、教えてもらいたいこと、あんねん」
「ん?」
「あんな、うち、サッカー好きなん、知っとるやん。今、ワールドカップ見とってな、ちょっと聞きたいことあってん」
(え?ワールドカップ?)
「どうしても、知りたいことあんねん」
「お、おう」
「あんな、こないだ、後一歩のところで、日本が負けてしまったやろ。『悔しいです』って表現英語で調べたら『frustrated』とか『disappointed』とか載ってたんやけど、イマイチピンとこないんよ」
(うわ~、また来たよ、メッチャ忙しい時に、ごっついええ質問…)
「ちょっと、分かりやすく説明してや」
「Mえ、ええ質問やけど…。もう、3コマ目が始まる…」
「ウチ、自分で少し考えてみたんよ。どう考えても『frustrated』って明らか「イライラ不満」系やろ。『disappointed』はセンセの教えで言うと「がっかり落胆」系やんか、『日本がああいう負け方でくやしい』って表現とはちがうと思うねんな」
「Mえ、前に『いただきます』『ごちそうさまでした』って英語でなんて言う、って聞いてよな。その時のこと、覚えてる」
「うん。文化や習慣が違う、その生活圏で「日本語」に訳しにくい言葉や、「日本人」には理解しにくい感情もあって、「翻訳自体」不可能なものがある。で、日本語から外国語にするときも同じことが言える、って教えてくれた。ウチ、その上で質問にしてるねん」
「分かった。だったら、短い言葉で表現できなければ、いったん、伝えやすい表現に変えてみるしかないな。」
「ウチにできるかな」
「Mえ、英語だけは『5』なんやろ、だいじょうぶよ」
「相変わらず、失礼やね。何が『だけ』よ。体育も音楽も『5』なんですけど~」
「よし、じゃあ、行こか。まず、目の前で『えっ、信じられへんやん』ことが起こった時、よく英語圏の人、なんて言うよ」
「Oh, my God!」
「ええね。ま、それは強い表現なんで、『Oh, my goodness!』の方が無難やけど…他にも単純に『Come on!』って言うこともできるで」
「そうか!」
「で、『勝つと思ってたのに…』な。これは?『過去進行形』でいけるよな」
「Japan was going to win」
「うん、思ってたのに、の部分は」
「I thought Japan was going to win.」
「はい、つなげて」
「Oh, my goodness! I thought Japan was going to win.なるほど、これで『イライラ』するでもなく『がっかりやわ』でもなく『悲しい』でもなく…負けた時の頭抱えて、『やだ~』って感じが伝わりそうな気がするわ」
「まあな、確かに、That’s very unfortunate. That’s very disappinting.だと、ちょっと日本人的にはうまく感情を表現できてない、言葉足らずのような気がしてしまうよな」
「そうや。センセ、春期講習で『in the bag』みたいなん使って、『絶対~だ』と思ってたのに、って言い方、教えてくれへんかった?」
「ああ、『have the game in the bag』な」
「じゃあ、絶対に勝てると思ってたのに、は『I thought I had the game in the bag.』って言える?」
「Mえ、『時制の一致』もバチバチOKや。英語の力ついたな~」
「やめてよ、センセ、調子にのってまうやんか、ウチ」
「他にも、『惜しかったね』っていう時は『They were so close.』『That was so close.』とも言えるで。ま、あとちょっとだったのに、みたいな感覚やな。Japan was so close to winning. でもう少しで勝てたのに、って言える」
「Wowwow!メッチャ会話のレベル上がるわ、センセありがとう」
「どういたしまして」
「そうそう、『残念だ』って『suck』って動詞つかっても表現できるの?なんかネットで…」
「Mえ、それはやめといた方がええで。That sucks.やと『最悪~』。You suck.やと『このへたくそ』みたいなキツイ表現になるで。それとな、結局負けちゃたんよね、って『残念感』出す場合は、『…and end up losing』って表現も使えるで…Mえ、おい、Mえ、聞いとる?お~い!オマエ、どこにいっとるん?だいじょうぶ、Mえ」
「分かった。じゃ、ウチがまとめるね」
「??????」
「Oh, my goodness! Japan was so close to beating Brazil at the 2026 World Cup. We lost, but it was a really nice match. I hope Japan will win the championship in four years. ウチ、なんか、楽しなってきたwwwwwwwwww」
「時間、時間やで、次の授業、始まるで、Mえ、教室に戻らんと、教室に行け、お~ぃ、Mええぇぇ」
コトの次第を興味深く見守っていた講師陣も、一斉に、笑いをこらえながら、教材片手に席を立つ。とりあえず、今日もあと一コマや、がんばるしかないか~。
★ちなみに、
・「結果、負けてしまった」は〈…, but ended up losing.〉
・「AとBとの間で世界との壁を感じる」は〈 feel a wall between A and B)
・「AとBとの間で大きな差を感じる」は〈feel a big difference (gap) between A and B)
・「言葉の壁」は〈language barrier)
英作文などで機会があったら、使ってみてね。
★では、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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