塾や学校でもらった中学校の過去問をどう使うか
すでに、中学校の「第一回定期テスト」が終わり、点数を見て一喜一憂している生徒も多いと思う。2019年以前は、年5回、一学期中間・期末、二学期中間・期末、学年末テストを実施する区立中学校が多かったが、「新型コロナウィルス」や「学校行事」などの影響で、年4回になった学校が急増した。
★先生、学校の過去問を使ったのに…点数が出ないよ!
さて、親御さんから、入塾の面接の際、「ウチの学校の過去問はありますか」「他の塾で過去問を解いた子が点数が良かったんですよ。学校の過去問さえ解いていればこの子も点数が出たんです」という話を聞くことがある。
ズバリ言おう、もし、お子さんが、学校のワークも答えを写すことなくほぼ「自力」で解くことができ、その教科が得意(中1・中2の学年末評定が「5」または毎回85点以上)であれば、文句なしに仕上げの実力試しに「過去問」は役に立つ。さらに、自分の得意教科は、別の学校の過去問を解くとより力がつくだろう。
しかし、お子さんの成績が「4」であれば、「過去問」の中に、きっととけない問題が複数題出てくる。そして、塾で解説を受けたとしても、完全にその問題をクリアーするのは難しい。前日、徹夜して勉強したのに、本番で調子を崩し、解ける問題を落としてしまう恐れも出てくるかもしれない。同じ問題が出たとしても、「時間内」に解ききれない恐れが出てくる。
では、成績が「3」の場合はどうか。定期テストの平均点にもよるが、「3」は守備範囲が広い。「数学」なら場合によっては「28点」ぐらいから「75点」まで、逆に平均点が高い「英語」では「95点」とっても「3」しかつかない場合もあるのが実情だ。
塾によっては、高校・大学の合格実績とともに、「3」の生徒を「4(5)」に上げることを一つの大きな戦略と考えている。それは「3」の生徒の数が最も数が多いことを知っているからだ。
成績「3」の生徒に教えるときは、ちょっと注意が必要だ。成績を上げたい生徒たちは必死に「過去問」の自分ができない部分の答えを知ろうとする。しかし、過去問を「時間内」で「8割以上」解き、さらに高得点につなげるには、かなりの練習が必要になる。先ほど書いたが、「本番」であせって他の「みんなが間違わない」問題を落とすと致命傷になる。「先生、時間がなくて解けませんでした」という生徒が最も多い層だ。結局、「読解問題」や「作文」の「200字」の答えを思い出しながら正解したとしても、漢字5問ミスって失点する、「応用題」1問解けても、計算問題3問、4問落とす、塾でやった長文問題1題が完璧でも、単語や熟語、教科書の本文の穴埋めなどの問題ができなければ、点数が伸び悩むことになってしまう。
成績が「2」や「1」の生徒は、過去問よりも学校ワークの基本問題を完全にとけるようにした方が、得点が出るケースも多い。テスト範囲の様々な問題が並ぶ「過去問」は、難易度の高い問題も並んでいる。特に、各教科、ワークから出題されるような中学校の生徒は、テスト範囲の「学校ワーク」をコピーし、自分ができなかった問題をチェックし、1週間前、前日にチェックをお勧めする。。「国語」なら、漢字、知識問題、読解問題の順で再度コピーしたものに書き込み、間違えた問題をチェックする。この際、漢字は書けるまで練習し、読解問題は、間違えた問題で自分ができそうな問題を復讐しよう。答えを書きなおす時間がない場合、答えの根拠となる文を押さえ、答えを自分で出せるようし、2,3回答えを音読しておきたい。「数学」なら、計算問題、「各単元」の「基本問題」の自分が「間違えた問題」を、時間をはかって解いてみる。英語なら、ワークで間違えた問題にチェックを入れ、テスト範囲全体を1時間半程度で解きなおす(書き直す)。「基本的」な問題を「時間内」で間違えずに素早く解くことがまず先決だ。そのうえで自分ができる問題を増やすのが得点アップにつながる。
中学校によっては、2年分程度の定期テストの過去問を配布している中学校もある。先生にお願いすれば、プリントなども出してくれる場合もある。ある学校では、国語の読解問題を、生徒が使用している教科書以外の文章から出題している。これは、生徒にとっては何が出るかわからないので、結構な負担だろう。中3の定期試験では、「英語」は初見の「長文問題」が加わることも多いし、「数学」では、それまでのテスト範囲の総合問題として、「都立高校」や「県立高校」入試に沿った問題形式の出題も見られる。この場合は、テスト範囲表に「中1・中2の今まで学習した内容を含む」と書いてある場合が多い。こうなると、「時間内に問題を読み、解く」ことになれていない「答えだけ知りたい」生徒たちはお手上げである。できれば、「夏休み」終了時までに、自分が目指す高校の過去問に目を通し、どんな問題がでているかを知るようにしたい。
一昔前は、入試問題でさえ何年かのサイクルで全く同じ「過去問」を出題する高校も存在していたし、「教科指導書(先生が持っている指導書)」の参考例にそっくりな「過去問」を定期試験で出題した中学校も存在した。たしかに、その内容を知っていれば、その場は高得点を狙うことができるかもしれない。が、「別の問題でも解ける」ことこそが「国語力」であり「数学力」「英語力」だと思うし、保護者の方たちもそう願っているはずだと信じたい。
通っている塾や自分の手元にあれば、安心かもしれないが、それだけでは点数につながらない場合もあるのが「過去問」なのだ。たしかに「過去問」は役に立つ、されどそれを武器にするには、「基礎力」が充実していることが必要なのも「過去問」なのだ。
よく「小学校、中学校の勉強なんて簡単でしょ」と言われる方が少なくないように思うが、なかなか「100点」を取れない、取らせられないものです…。5教科型の講師として19歳の頃から教えることに触れてきましたが、今も、数時間、数日悩む問題と出会うこともあります。その時に、思うのが小学校・中学校の「基礎力」の大切さと「できるまで継続」ということです。
ぜひ、高校に行っても役に立つ「基礎力」を「中学校・通っている塾」で身に着けてください。では。
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