日記 十八の巻
12月 第1週月曜日 マイナスの最低気温が増え、ある朝、待ちに待った温かい「缶コーヒー」が自販機に登場した件について
▶空が、ぐずぐずして嫌な朝だ。「雪虫」が姿を現してから、そろそろ1か月半、見上げた雲に、雪の気配が漂う。
・定期テストの前日から終わる日の前の晩まで、中学生の頃、氷点下で開きにくくなっている窓を無理やり開け、三角屋根からにょきにょきはえている「つらら」に手を伸ばし、「ぽきっ」、眠気覚ましの「アイスコーヒー」をよく作った。当時はまだ、ブラックが飲めないお子様だった。
・今と違って、地元の喫茶店では「アイスコーヒー」は季節もので「夏限定」。飲みたいと思っても「冬」はメニューにはいない。
・別に、のどが渇いているわけではないが、登下校するときに、北海道の子供は誰もが一度は経験しているはずだ。「雪」を口にした。道端の「雪」は意外と汚かったのを覚えている。口にする際は、確認が不可欠。一応、「なまもの」だから。
▶自動販売機の「缶コーヒー」が好きでよく購入する。どうしても自販機にふらふら吸い寄せられるクセがある。11月に入り、最低気温が徐々に「0℃」に近づいてくると、さすがに「hot」が飲みたくなる。
・11月28日朝、燃えるゴミを捨てた帰り、いつもの自販機で、ついに、初「hot」を手にした。なんとなく「happy」。昔は「熱いく」てしばらく触れない自販機もあったな~。
・コンビニに行けば、ホットの缶コーヒーなんか、いつでも手に入る…でも、なぜか、自販機の缶コーヒー、衝動的に、飲みたならん?
▶「塾講師」になりたての20代、ほぼ毎日、朝までがっちり予習をした。それこそ深夜、胃がおかしくなるくらいの「ブラック」の「コーヒー」を胃に流し込みながら。もちろん、他の塾講師にも負けたくはないという気持ちもあったが、それ以外の理由が自分を動かしていたように思う。…ヤバいな、ここ、「それ以外の理由とは何だと考えられるか、文章中から考えられることを推測して書け」って問題、出そうや…
・もちろん、うんうんうなって朝まで問題と格闘してたわけではないで。それだと、ええ歳こいたた、だの「受験生」やんけ。
・問題を解くだけやなく、どの生徒をどの問題で当てるか、その時のヒントの出し方、クラス全員への解説の内容、補足説明をどこまでするか、問題演習の時に「時間が余った生徒」に対する対処、用意した話のネタは、授業の内容に絡めるか、単なるウケ話にするか、宿題をどの辺で量をどうするか、板書でいくかプリントでいくか、板書やプリントの内容やレイアウトをどうするか。
▶うれしいことに、どの塾でも「教えるのが下手」と言われたことがない。でも、何年経っても、完璧な授業などなかなかできない。かろうじて、満足する授業も1年に数回程度だ。それでも、「教えること」に、全力を尽くす、それ以外の選択肢は「塾講師」にはない。
▶「予習」は生徒のためでもあるが、実は「自分」のためでもある。
・時には今まで勘違いしていた「漢字」や「表現」に出会う、「数学」でとんでもない「別解」を見つけて興奮したり、「歴史」に詳しい生徒の質問に戸惑わないために、ある程度、深く調べたり、学校配布の「解答なし」の理科の教材の質問に備えたり、国語の「読解演習」の時間に、帰国子女の小4生に英語で接続詞の説明する準備をしたり、授業中扱う「英作文」の生徒の間違いを予想し、「語法」などの板書を考えたり。
・以前に「自作のオリジナルプリント」のことを書いた。「プリント」は、授業の流れで作成することが多いので、生徒にもその日の授業全体が見渡せる。授業後、うれしいことに、丸ごと復習するから、もう一枚プリントを欲しい、と言う生徒の列ができたこともある。
・でも、便利なオリジナルプリントも欠点がある。
・今、学校や塾で、センセが「本の179Pを開いて『慟哭』って言葉をさがして、ノートに写してね。その後で辞書で意味を調べてみましょう」と言った時、すぐに反応「できない」生徒が増えていると言う。
・一枚の「プリント」で終結することの便利さの副作用のようなもんが、「辞書を速く引けない」「本のページを素早くめくってさがせない」「自分でなかなか調べられない、まとめられない」という現象につながる恐れがあるっちゅうことや。
▶氷点下の空気の中、暖かい缶コーヒーが体の中にしみる…人間がやることに「完璧なんてないよ」とどこからでもなく、もう一人の自分がウソブく。


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