「うちの子、漢字と計算はできるんです」…その言葉、ちょっと待ってください
塾講師と保護者の間では「できる」という感覚が違う場合がある!
「ウチの子、漢字と計算はできるんです」という面接時の保護者の言葉は講師を不安にさせる恐れがあります…
★塾講師が「漢字」や「計算ができる」と確実に思える生徒は、定期テストで「計算分野」「漢字パート」が満点、あるいは、中学生なら、数検、漢検が「準2級」以上のことが多い。
板橋区で3件目の塾に勤めるようになってから、面談の際には、なるべく「内申」や「偏差値」がわかるものだけではなく「定期テスト」「模擬試験」などの問題用紙、答案用紙、解答・解説を持参していただくようにしていた。
2件目の教室で「室長」を経験したこともあり、「親の職業」や「出身大学」などを聞きにくくなった昨今、初回の面談で少しでも多くの情報をつかんでから生徒に「体験授業」をしていただきたい、という思いがあった。
自分の場合、生徒が保護者の方と一緒に来ている場合、面談の場をよく「ミニ体験授業」に変える形をとることもあった。
その際、
生徒本人と、「計算問題」を一緒に解いていき、どこで間違っていたかを確認したり、
「漢字」を書いてもらうと、実は画数や書き順がメチャクチャだったり、
「単語」は書けても、「時制」や「単数、複数」を間違えたり、「英作文」の中で「その単語」を使えなかったり、
「オームの法則」という言葉は知っていても、回路のことや、単位の変換ができず「公式」が使えなかったり、
歴史上の「人物名」を漢字で書けなくても、口では言えて、年号やできごとは覚えていたり、
ということが何度もあったのだ。
つまり、講師の方は、「これって、オームの法則でしょ」と質問されて「そうそう、その通りだね」なんて言って安心していると、生徒に「点数」を取らせることができないということだ。
実際に3件目の塾は、350名前後、通っている生徒は小3~高3生まで。集団指導は、1教室15名前後、高3生は個別指導を行い、自分は主に文系教科を担当していたのだが、「わかった?」と生徒に確認し、授業を終わらせることは、ほぼ全面的に「禁止」されていた。
ノリのいい先生の講義を聞き、何題か演習を終えた生徒は、「わかった?」と聞けばわかった気になってしまい、「はい、先生わかりました」と答える。しかし、次回の授業で「小テスト」してみると結果が散々なんてことも「塾業界」では少なくないのだ。
実は、それを防ぐための大切な手段としての一つが「宿題」なのだが、この大切な「復習」や「ハイレベルへの挑戦」として講師が考えた「宿題」…講師と生徒との一種の約束ごと(宿題は必ずやってくる)を守らない生徒は意外と多い。
ご子息・ご子女が宿題をやらないこと、これは保護者の方は要注意が必要である。後々の面談で強く出るためにも…。
実際、塾の面談で「B君は宿題を5回連続やってきていません。塾ではご本人に宿題をやってくるように指導していますが…このままではなかなか成績が上がってきませんよ」なんて言われてしまう恐れがある。「うちの子、もう、あの塾に通って半年になるのに成績が一向に伸びないのよね。ちゃんと指導してくれてるのかしら?先生に言わなくちゃ」なんて思っているときに、先制パンチを食らう危険があるのである。
入塾の時、「私どもにお任せください」という言葉しか耳に残っていらっしゃらない保護者の方が多いと思うが、この時、たいていの塾の先生は、「我々の言うとおり勉強していただければ成績が伸びますよ」とお伝えしているのだ。そして、この「我々の言うとおり」の中には、「授業に積極的に参加」し、「宿題を毎回やってくる」ことはもちろん、「小テストで満点」を積み重ねていくことも含まれている。
面談時に、心配になった親御さんの中には「宿題が多いとついていけないかと心配です」とおっしゃる方も多い。が、その塾で成績を上げるためには、その塾の宿題の量に慣れる必要がある。
一番良いパターンは「宿題の量」が本人取って「適量」であること。二番目に良いのは、「体験授業」できちんと「宿題の量」を確認することだ。
「体験授業」で「宿題なんてしなくていいや」と思ってやらずに塾に行ったら、ほとんどの生徒が「宿題をやってきていた」なんていうのもいい刺激になるかもしれない。先生が生徒を指して、発言を促したり、白板に書いてもらったりする塾も中にはあるだろう。この塾の授業はこういう特徴がありますよ、それを知るのが「体験授業」だ。
「Aちゃんも通っているから」「成績が優秀な子が通っているから」というだけで塾を決めてしまうのは危険だ。生徒ご本人が何が嫌で、何が良かったのか、「体験授業中」にしっかり話し合ってみて欲しい。
まったく、授業にも興味がなく、宿題も手をつけないようであれば、他の塾をのぞいてみるのが一つの手。とくに、「定期テスト前」など、生徒が真剣に勉強に取り組む時期にいくのがお勧めだ。2、3件、無料体験でも有料でもいいので受講してみて、生徒ご本人が、そこで「本気」で勉強できそうかどうか確認してみていただきたい。塾自体、この物価高の世の中、決して安いものではないのだから。
話が「面談」や「宿題」「体験授業」にそれてしまった。
ここで、もう一度、親御さんと塾の講師の「計算ができる」「漢字ができる」の認識の違いに触れておこう。
計算ができる=中1の正負の数のパートで複雑な計算問題を含め「満点」。入試問題である程度の私立高校の問題にも対応できる。
漢字ができる=テスト範囲を含め、中1~中3の教科書で習った範囲の漢字を「読み」だけではなく「できれば書ける」こと。中3生であれば「漢検準2級」レベルならさらにbetter。
これが、塾講師を25年以上経験してきた自分が、生徒を預かる際、安心できる「計算ができる」「漢字ができる」レベルだ。
もうすぐ「夏期講習」が始まる。生徒からうまく話を聞き出し、生徒の「得意分野」や「弱点分野」を把握し、しっかりと各教科担当の先生に伝え、「体験授業」を少しでもその生徒の成績向上の場にしようと努力している先生もいるはずだ。
ぜひ、生徒ご本人に合った塾を見つけ、実力アップを目指して欲しい。そして、「苦手分野」を克服し、できる問題は「より正確にとける時間をスピードアップ」し、「難問」にもチャレンジできる自分にこの夏、成長していただきたい。
※「竹立塾」は現在、元経営者が北海道で病気治療のため、教室を「閉鎖中」です。板橋区では授業は行っておりません。ご了承ください。現在は勉強や塾選び、入試などのエッセイをこの場を借りてお伝えしております。
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